一般的な毛の成長過程に関する解説するものはよく目にするが、毛包幹細胞との働きとの観点から解説されているものは非常にまれである。いまだ全体像が確実に解明されたわけではないが、今回は自己の知識の再確認の意味で毛包幹細胞と毛の成長過程についてわかっている範囲で簡単にまとめてみることにする。
■ 毛包幹細胞の分化と毛の成長まとめ
1,成長期(anagen)
2,退行期(catagen)
毛母細胞のアポトーシスとそれに伴う毛乳頭細胞の上部への移動
3,休止期(telogen)
毛包幹細胞 (バルジ体に存在)
←毛乳頭細胞から毛周期の退行期後期にシグナル ?
↓
上皮細胞へ分化 (上皮系)
↓
毛包内へ移動
←毛乳頭細胞との相互作用
↓
毛幹へと分化
↓
毛幹の成長
・毛髪の成長には上皮系、間葉系の相互作用が必須
・毛周期の退行期後期に毛乳頭が上方へ移動する段階において毛乳頭細胞が何らかのシグナルを出していると考えられている。その結果、毛包幹細胞を活性化し成長期へ分化を誘導しまた新たに毛周期を開始させるようである。
■ 参照情報
皮膚の老化と再生医療より引用
皮膚には表皮幹細胞と毛包幹細胞と2 種類の上皮系幹細胞が存在することが知られており、表皮幹細胞は通常は表皮の組織恒常性維持を司り、毛包幹細胞は毛包、表皮、汗腺や皮脂腺等あらゆる皮膚付属器に分化することができる幹細胞である。毛包幹細胞から派生した上皮細胞は毛包内を下方移動して、間葉系の毛乳頭細胞との相互作用を経て、毛幹へと分化することにより、毛幹は成長している3)。このように、毛髪の成長には上皮系、間葉系の相互作用が必須であり、禿髪においてはその片方、もしく両方が障害を受けている。
島根大学 松崎研究室より引用
毛周期の進行とともに新たな成長期への移行スイッチが入ると,アポトーシスにより一度は消失した毛母細胞・色素細胞がどこからか供給され,毛球構造の再構築,有色の毛幹の形成が再スタートします
毛包を構成する幹細胞システムと その分子制御機構